相続税の課税を1回飛ばせる
通常、相続財産を子世代、孫世代へと移転させるには、相続税が「親から子」「子から
孫」へと2回課税されることになります。
ですが、親から孫へ直接贈与することにより、相続税の課税を「1回分」なくすことができます。
相続人が相続開始前3年以内に被相続人から受けた贈与については、年間110万円以
下であっても、生前贈与加算として、相続税を計算することが義務づけられています。相
続人でない孫が被相続人から受けた贈与については、孫が代襲相続人である場合をのぞき、相続財産に含める必要がないというメリットもあります。
3年以内に贈与された財産を相続財産にプラスして相続税が計算されるのは「相続また
は遺贈(遺言により財産を贈与すること)により財産を取得した人」のみだからです。
ただ、孫への贈与を税務署に認めさせるのには、もう少し細かな点にまで気を配る必要があります。
それは、渡すタイミングと金額です。
教育資金を例にあげると、4月に入学金30万円と前期授業料
70万円の計100万円、9月に後期授業料70万円であった場合に、
4月と9月、それぞれに授業料相当分が祖父母の
通帳から出金されていれば大丈夫です。
ですが、4月に170万円が一括で渡されていたり、大学4年間の授業料が祖父母の口
座からまとめて出金されていたりすると「別の用途に使用が可能だった」とみなされ、贈
与税の課税対象となってしまう恐れがあります。
このような事態を避けるためには、1円単位まで授業料と合わせた金額を祖父母の口座
から引き出し、通帳に記帳して証拠を残しておくとよいと思います。