税理士を決めるポイントのひとつに「本を書いているか、書いていないか」があります。
本を書いていることは、良い税理士の1つの目安となります。ただし、本を書いているからといって総合的に優れている税理士だと判断するのは早計です。その本の内容が重要なのです。
本を書いている税理士と顧問契約するかどうか判断の材料にしたいのであれば、以下の3つを押さえましょう。
①自社の方向性に合う税理士だと思われる内容が含まれているか
②経営に役に立つ内容が盛り込まれているか
③本の内容が専門家以外に理解できるように書かれているか
また、何人かの税理士によって基本構成が組み立てられ、共著となっているような場合はどうでしょうか。経営課題に対して、本を出すことにまったく興味を示さない税理士よりは積極的だと言えるでしょう。社長の期待に応えるアドバイスを持ち合わせていると可能性があります。
「私が出した本です」と税理士から手渡された本が有名出版社の本であったとき、すぐに信用してしまう経営者がいますが、一度実際に読んで、内容を確認してみることをおすすめします。
文章には書き手の性格が現れる
“文章を書く”という行為は自分の頭の中にあるものを表現する行為であるため、その人の性格や性質がにじみ出てしまうものです。
「有名な出版社から発行された本を書店で見つけた」という理由だけで税理士と顧問契約を結び、失敗してしまう社長さんは少なくありません。「近くに凄い先生がいる」と思い、本の内容も吟味せず、すぐに顧問契約をしてしまわないように注意しましょう。
顧問契約を結ぶと、定期的に面談してもらい、税務や会計についてアドバイスをもらうこととなります。しかし、社長さんの中には「本を出している偉い先生だ」という思い込みが邪魔をして、面談時に質問することをためらう方もいます。結果、これでは修行僧のようにじっと黙っているだけになってしまいます。これでは顧問契約の意義が薄れてしまいます。面談が苦痛になり、新しい税理士を探さなければならないという事態にもなりかねないのです。
「本の内容に共感できない」「自分とは肌が合わない気がする」と直感で感じた場合は、その直感を信じてみることも一つの判断材料と言えるでしょう。