現状の把握が相続税対策には不可欠
さまざまな相続対策を紹介しましたが、相続税対策の基本は、相続が発生してから準備
するというものではなく、事前の計画的な準備が必要であるということがおわかりいただ
けたのではないかと思います。
そして、実は、この事前の準備でできるいちばん大切なものは、さまざまな制度を利用
する、ということではなく、現状の把握、すなわち、財産リストを作成し、相続税がかか
るのか、かからないのか、かかるとするならばどれくらいかかりそうなのかを、計算する
ことにあります。
財産の内容をできるだけ詳細に、預貯金・株式・不動産だけではなく、
住宅ローンや事業をしている方なら、事業上の債務なども含めて、洗い出しましょう。
正確な財産債務の把握は、遺産分割を円滑にするだけでなく、トラブル防止にも有効です。
そして、相続をすると決めたら、どのように分割をすれば、財産の承継と納税が円滑に
いくかをシミュレーションします。
といっても、これらの作業は、特に税額計算など、非常に専門的な内容を伴います。す
べて自分でやる必要はありません。税理士に依頼をすれば、希望に応じた最適なプランを
提案してくれるはずです。
また、財産債務は、時間の経過とともに変化していきます。こうした作業は1回だけ
やって終わりにせず、数年に1回など、定期的に行うことをおすすめします。