●借金は罪悪ではなく、正しい行為
借り入れについて補足しておきましょう。無借金経営は「がんばった結果」そうなるならかまいませんが、それを「目標」にするのは間違っています。いや、もっと別の言い方をすれば、金利以上に稼げばいいのです。一億を借りると仮に年利2%の金利がついたとします。
複雑な金利計算は別にして、2%つまり、わずか200万円が一億円を動かして稼げないなら、借りない方がいいということです。いずれにしても借金というと、デメリットばかりに目がいきがちですが、借金にはメリットもあります。
まず第一に「時間」を買えます。ある商品の生産にどうしても必要な設備があったとします。毎年コツコツと社内に留保したお金で、買うとすれば5年ほどかかってしまいます。5年間待ってから買ってもかまいませんが、仮にいますぐ借金して買えば、5年間という時間を買うことになるからです。
第二に、「信頼」を得られます。よほど強気の商売でない限り、お客様の注文を受けてから製造をし、入金してもらった額を製造費や仕入れ代として支払う会社は少ないと思います。
多くの会社では、お客様の注文前に製造や仕入れをするため、代金が必要になります。そのため売れてからお客様の入金があるまでタイムラグがあります。その間、お客様の代金を「立て替えている」という「信頼」をお客様に提供していることになります。
第三に「安心」を得られます。経営の安定には、ある程度のお金がかかせません。たとえば運転資金として借金してそのまま普通預金口座にもっておけば、何かあったときに、すぐに対処することができます。これは「安心」を得たということと同義です。いずれにしても、戦略的な借入計画を考えることが大切です。
出典:社長にとっていちばん大事な「お金」「売上」「経費」がらくらくわかる本
運営:記帳・経理代行実務研究会